千枝の楠(市指定天然記念物)
和泉市の文化財紹介によれば、境内の楠の巨木「千枝の楠」(市指定天然記念物)は白狐が姿を隠したと伝わる木です。
信太森葛葉稲荷神社は、大阪府和泉市葛の葉町に鎮座し、正式には信太森神社、通称を葛葉稲荷神社といいます。公式サイトによれば創建は和銅元年(708年)。この社には、阿倍野の若者・安倍保名と、白狐の化身・葛の葉姫の恋物語が伝わり、二人の間に生まれた子が陰陽師・安倍晴明公であると語り継がれています。晴明公の母の里として、和泉市は境内の楠の巨木「千枝の楠」を市指定天然記念物とし、江戸時代の土御門家も「信太明神」をこの伝説ゆかりの旧跡に数えました。
公式サイトの由緒が語る物語はこうです。昔、阿倍野の里に安倍保名という若者がいて、家の再興を願って信太の森の稲荷に日参していました。ある日、狩人に追われた一匹の白狐が助けを求めて駆け寄り、保名は狐を草むらに隠して狩人と争い、傷ついて気を失います。目覚めると葛の葉と名乗る美しい女性に介抱されており、やがて二人は夫婦となって男の子を授かりました。しかし子が五つになった秋、添い寝をするうちに神通力を失った葛の葉は狐の正体を現し、それに気づいた我が子を残して、口にくわえた筆で一首を書き置いて去ります。「恋しくは たづねきてみよ 和泉なる 信太の森の うらみくずの葉」——母を慕って泣く子を背負い、妻の名を呼びながら森を訪ねた保名が見たのは、社の一面に茂り、声に応えるように葉裏を見せてざわめく葛の葉だったといいます。この子がのちの安倍晴明公です。稲荷の神使である狐が、この社では宇迦之御魂大神・素戔嗚尊とともに神そのものとして敬われている、と公式サイトは記しています。
この物語は歌舞伎・文楽の『蘆屋道満大内鑑』「葛の葉子別れ」として今も上演され、大阪の安倍晴明神社には葛之葉霊狐の飛来像が立ちます。安倍晴明神社の公式サイトによれば、宝暦四年(1754年)に土御門家が定めた晴明公七箇所の旧跡「晴明霊社旧地之次第」にも、当社は「晴明公の母君・葛之葉姫ゆかりの地」として信太明神の名で挙げられています。
和泉市の文化財紹介によれば、境内の楠の巨木「千枝の楠」(市指定天然記念物)は白狐が姿を隠したと伝わる木です。
白狐が葛の葉姫に化けたときに姿を映したという「姿見の井戸」、狐が人を化かしたと伝わる「白狐石」も残ります。姿見の井戸は水面に姿が映れば無事に帰れるといわれ、日露戦争以降、出征する兵士やその家族が無事を祈って詣でたといいます。
境内には和泉式部の歌碑「秋風はすこし吹くとも葛の葉のうらみがほにはみへじともおもう」と、松尾芭蕉の句碑「葛の葉の表見せけりけさの霜」も立ちます。
公式サイトによれば、本殿左手の御神木は一本の幹が二手に分かれる「夫婦楠」と呼ばれ良縁祈願・夫婦円満の信仰を集め、子授け・安産を願う「子安石」の前には二匹の狐が並びます。
商売繁盛・開運招福を願う張り子の狐も当社ならではの授与品です。
住宅地の中に鎮座する神社です。参拝は静かに、近隣への配慮をお願いします。
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最終更新:2026年9月5日